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Dr.koba

DNA複製のタイミングとゲノムの安定性についての論文が米国微生物学会誌の「注目論文 Spotlight」に選ばれました。

4/21/'21new

雑誌名:「Molecular and Cellular Biology」   DOI: 10.1128/MCB.00324-20
論文タイトル:The S-Phase Cyclin Clb5 Promotes rRNA Gene (rDNA) Stability by Maintaining Replication Initiation Efficiency in rDNA
著者:Mayuko Goto, Mariko Sasaki, Takehiko Kobayashi
後藤 真由子、佐々木 真理子、小林 武彦

<論文概要>
遺伝情報を守るメカニズムを発見
ーDNAを素早くコピーすることが遺伝情報の安定な維持に大切ー
細胞が殖える時には、事前にDNAを正確に複製(コピー)し、複製されたDNAを娘細胞に分配します。DNAの遺伝情報を短時間でコピーするために、細胞はDNA上の多くの場所から複製を始めます。DNA複製過程で異常が起こると、誤った遺伝情報が娘細胞に受け渡され、ガンや様々な病気の発症につながります。東京大学定量生命科学研究所の小林武彦教授と佐々木真理子助教、大学院生の後藤真由子は、細胞周期の進行、特にDNA複製の開始を司るClb5タンパク質をもたない出芽酵母の細胞では、リボソームRNA反復遺伝子の一部が削られたり増幅したりしてDNAが不安定になることを発見しました。Clb5タンパク質がないと、DNA複製開始の頻度が減少し、複製開始点同士の間隔が長くなり、複製装置が長く移動する必要が生じます。そのため複製装置の停止などのトラブルに遭遇しやすくなることが明らかになりました。これらの発見から、細胞がどのようなメカニズムで膨大な遺伝情報を正確に複製し、がん化などを回避しているのかを明らかにすることができました。

<報道等>
プレスリリース
http://www.iam.u-tokyo.ac.jp/pressrelease/210331-1/
米国微生物学会誌
https://mcb.asm.org

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加齢に伴うゲノムの変化を調べた論文がMol Cell Biol誌に出版されました。

10/26/'20new

雑誌名:「Molecular and Cellular Biology」 DOI: 10.1128/MCB.00368-20
論文タイトル:Age-dependent ribosomal DNA variations in mice
著者:Eriko Watada, Sihan Li, Yutaro Hori, Katsunori Fujiki, Katsuhiko Shirahige, Toshifumi Inada, and Takehiko Kobayashi

<論文概要>
なぜ年をとると病気になりやすくなったり、いわゆる衰えを感じるのでしょうか?その原因を探るため生物の設計図であるゲノム、中でも特に遺伝子数が多く変化が激しいリボソームRNA遺伝子に注目して調べました。
私たちは、定量研の白髭克彦教授、東北大学大学院薬学研究科の稲田利文教授らとの共同研究を行い、若いマウスと高齢マウスのリボソームRNA遺伝子を比べたところ、DNAメチル化の上昇、遺伝子の発現量の低下、DNA配列の変化(変異)を発見しました。興味深いことに高齢マウスで見つかった変異を酵母菌に導入したところ、酵母菌の寿命が短縮しました。リボソームRNA遺伝子に起こる変異がマウスでも老化の一要因になっていると考えられます。ヒトとマウスのリボソームRNA遺伝子は非常によく似ていることから、ヒトでも同様に老化の原因となっていると予想され、人の老化に伴う疾患の治療薬の開発などに繋がる可能性があリます。

<報道等>
11月1日 日本経済新聞朝刊
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO65712390Q0A031C2MY1000/
プレスリリース
http://www.iam.u-tokyo.ac.jp/category/press_release/

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若月らの論文が日本遺伝学会誌優秀論文賞GGS prize 2020に選ばれました。

9/25/'20new

論文タイトル:Defects in the NuA4 acetyltransferase complex increase stability of the ribosomal RNA gene and extend replicative lifespan
著者:Tsuyoshi Wakatsuki, Mariko Sasaki, Takehiko Kobayashi
掲載誌:GGS Vol. 94 (2019) p197-206.

日本遺伝学会 https://gsj3.org/newslist/2020/news1138/
東大定量研 http://www.iam.u-tokyo.ac.jp/award/20201104/

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リボソームRNA遺伝子の核膜孔への移動を発見した論文がPlos Genetics誌に出版されました。

4/18/'19new

「老化と若返りの鍵を握る遺伝子」は、自ら病院を訪れ、治療を受ける ~リボソームRNA遺伝子の核膜孔への移動を発見~

<研究の概要>
地球上のすべての生物が持つリボソームRNA遺伝子は巨大な反復配列を形成しており、DNA二本鎖切断を受けると容易にコピー数が増減してしまう不安定な性質を持っています。このrDNA不安定化は細胞老化の原因の一つであることが知られており、rDNAの安定維持機構の理解はとても重要です。
今回、私たちの研究チームはDNA二本鎖切断を受けたrDNAが核辺縁まで移動して、核膜孔複合体に結合することを発見しました。この移動と結合が失われるとrDNAが不安定になったことから、核膜孔結合がrDNA不安定化の抑制に重要な役割を果たしていると考えられます。
このような核膜への移動は、負傷した人が病院を訪れる様子とよく似ています。現場で処置できないような傷を負ったrDNAは、自ら動いて病院を訪れます。『核膜孔病院』ではrDNAを修復して安定化させる治療が行われていますが、これはすなわち老化を抑制するアンチエイジング治療でもあります。本研究で明らかとなった核膜孔への移動によるrDNA安定化の理解が、細胞の老化と若返りの機構の解明に寄与することが期待されます。

<掲載雑誌> 雑誌名:「PLOS Genetics」DOI:10.1371/journal.pgen.1008103
論文タイトル:Ribosomal RNA gene repeats associate with the nuclear pore complex for maintenance after DNA damage.
著者:*Chihiro Horigome, *Eri Unozawa, Takamasa Ooki, Takehiko Kobayashi (* equal contribution)
出版日:2019年4月18日 巻(号):15 ページ番号:e1008103

<新聞等の報道>
2019年7月9日東京大学新聞
 https://www.todaishimbun.org/rdna_maintenance20190723/
東大定量研ニュース
http://www.iam.u-tokyo.ac.jp/news/20190524/

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「細胞が遺伝子の数を数えて維持する仕組みを解明」がMolecular Cell誌に出版されました。

1/4/'19

発表雑誌 Molecular Cell(2019年1月3日電子版発行)
論文タイトル:RNA polymerase I activators count and adjust ribosomal RNA gene copy number
著者:Tetsushi Iida and Takehiko Kobayashi

<要旨>私たちヒトを含めた生物の細胞は、さまざまなタンパク質を合成することで細胞の機能を維持しています。そのためタンパク質合成を担うリボゾームを大量に安定供給することは、全ての細胞にとって非常に重要です。それには、同じ遺伝子が多数連なった反復遺伝子であるリボゾームRNA遺伝子が安定に保持される必要があります。しかし、減少しやすい性質を持った反復遺伝子のコピー数を、細胞がどのように一定に保っているのかは長い間謎でした。 今回我々は、ちょうど「イス取りゲーム」で座れなかった大勢の人が、イスを増やすように審判に働きかけ、人数に見合った一定数のイス(遺伝子)を維持していることを発見しました。つまりイスが、減少しやすいリボゾームRNA遺伝子、ゲームに参加するプレーヤーが今回発見したカウンター因子UAF、そして椅子の数を調整する審判役が組換え抑制遺伝子SIR2にそれぞれ相当します。SIR2はリボゾームRNA遺伝子の安定化を通して寿命を維持する長寿遺伝子としても知られています。

Young Best Poster賞を受賞
<成果についての報道>
2019年1月4日 日本経済新聞電子版
https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP498792_R21C18A2000000/

2019年1月4日 記者会見


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和多田江理子(M2)が国際シンポジウムで学生ポスター賞を受賞しました。

12/18/'18

平成30年12月17−18日に名古屋大学で行われた「岡崎フラグメント〜不連続DNA複製モデル〜50周年記念国際シンポジウム」でM2の和多田江理子(写真中央)が”Age-dependent Ribosomal DNA variation in mammalian cells”という演題で学生ポスター賞を受賞しました。

http://bunshi4.bio.nagoya-u.ac.jp/~bunshi4/50okazaki/index.html

Young Best Poster賞を受賞


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和多田江理子(M2)、長谷川耀(M2)が、Young Best Poster賞を受賞

9/21/'18

平成30年9月19−21日に行われた日本遺伝学会第90回大会(奈良)において、
M2の和多田江理子(右)が「老化に伴いリボソームRNA遺伝子のコピー数は増加する」,
同じくM2の長谷川耀(左)が「カシス抽出液は出芽酵母のrDNAを安定化させ、分裂寿命を延長する」
という演題でYoung Best Poster賞を受賞しました。

Young Best Poster賞を受賞


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佐々木真理子助教がBest Poster賞を受賞

7/27/'18

佐々木真理子助教が、2018年7月22日から27日まで香港にて開催されたGordon Research Conference Genomic Instabilityにおいて以下のタイトルでBest Poster賞を受賞しました。
A replisome component Ctf4 suppresses end resection of DNA double-strand breaks at arrested replication forks
Mariko Sasaki and Takehiko Kobayashi

佐々木真理子助教がBest Poster賞を受賞


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小林武彦教授が遺伝学振興会奨励賞を受賞

7/18/'18

小林教授が、静岡県浜松市にある公益財団法人遠州頌徳会 遺伝学振興会より、遺伝学奨励賞を受賞致しました。
この賞は遺伝学の健全な発展を目的として1976年から授与されています。
小林教授はゲノムの安定性と細胞老化の関係を解明し、その研究業績が高く評価され今回の受賞となりました。

遺伝学奨励賞を受賞


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小林教授の本「DNAの98%は謎」が講談社ブルーバックスから出版されました。

10/17/'17

小林武彦教授の本が講談社ブルーバックスから出版されました。
タイトルDNAの98%は謎
内容

https://www.amazon.co.jp/DNAの98%は謎-生命の鍵を握る「非コードDNA」とは何か-ブルーバックス-小林武彦-ebook/dp/B07673PD6L

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53239

寿命はなぜ決まっているのか―長生き遺伝しのヒミツ


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DNA複製阻害時に機能する新しいDNA修復機構の発見に関する論文がMol Cell誌に掲載されました。

発表雑誌 Molecular Cell(2017年5月18日発行)

論文タイトル:Ctf4 prevents genome rearrangements by suppressing DNA double-strand break formation and its end resection at arrested replication forks
著者:Mariko Sasaki and Takehiko Kobayashi
DOI番号:10.1016/j.molcel.2017.04.020 
<要旨> 私たちの体は、数十兆個もの細胞からできています。たった一つの受精卵からこれだけの数の細胞を作り出すためには、遺伝情報を担うDNAを複製によって正しくコピーしそれを娘細胞に受け渡すことが大切です。DNA複製の途中でトラブル(停止)が起きると、DNAの切断(DNA二本鎖切断)が引き起こされ、遺伝情報が壊れることにより、がんや多くの疾患の原因となるゲノムの異常を引き起こします。しかし、これまでこの切断されたDNAを修復するメカニズムはよく分かっていませんでした。  今回佐々木真理子助教と小林武彦教授は、複製時に形成されるDNAの切断とその修復の過程を直接観察する実験系を確立しました。この実験系を用いて様々な因子の関与を検証した結果、Ctf4というDNA複製をになうタンパク質の1つが、DNAの切断の修復に必要であることが明らかになりました。  切断されたDNAの修復がうまくいかないとゲノムの異常を引き起こし、老化やがんの原因となります。本研究成果は、細胞の老化やがん化がなぜおこるのかを解明する重要な手がかりになると考えられます。

<成果についての報道>

5月19日 日本経済新聞電子版
https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP445116_W7A510C1000000/

5月24日 日経産業新聞 

6月12日ライフサイエンス新着論文レビュー

http://first.lifesciencedb.jp/?s=佐々木真理子


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小林教授の本「寿命はなぜ決まっているのかー長生き遺伝子のヒミツー」が岩波ジュニア新書から出版されました

2/20/'16

小林武彦教授の本が岩波ジュニア新書から出版されました。
タイトル寿命はなぜ決まっているのかー長生き遺伝子のヒミツー
内容:なぜヒトには寿命があるのだろう?なぜ生き物は種類によって寿命が違うのだろう?こんな疑問を誰でも一度は持ったことがあると思います。実はその謎を解くカギは遺伝子にあります。中学生から大人まで、誰が読んでも楽しめるように遺伝の仕組みや寿命を決める遺伝子の働きについてわかりやすく解説しています。2016年2月20日より全国の書店にて発売。 https://www.iwanami.co.jp/hensyu/jr/toku/1602/500824.html

寿命はなぜ決まっているのか―長生き遺伝しのヒミツ


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小林教授編集の書籍「ゲノムを司るインターメア:非コードDNAの新たな展開」が化学同人 から出版されました

11/30/'15

小林教授編集の書籍「ゲノムを司るインターメア:非コードDNAの新たな展開」が化学同人 から出版されました。
小林教授が代表を務める新学術領域「ゲノムを支える非コードDNA領域の機能」のメンバーが中心となり最新の成果をわかりやすく解説総説集です。遺伝子の制御から個体の進化まで、非コードDNA領域が持つ多様な機能を斬新な切り口で紹介しています。
化学同人へのURLは、以下です。 http://www.kagakudojin.co.jp/book/b212396.html

インターメア

 


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4月1日より小林研究室は東京大学に移りました。

4/01/'15

4月1日より小林研究室は東京大学に移りました。
遺伝研時代は大変お世話になりありがとうございました。今後ともご指導、ご支援の程、何卒よろしくお願いいたします。
東京大学分子細胞生物学研究所 ゲノム再生研究分野
小林武彦

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第19回分生研シンポジウムの開催について 「生き物の寿命は何が決めるのか?」

11/02/'14

日時:2014年12月19日(金)13時30分~18時10分(18時30分より懇親会
内容:講演およびパネルディスカッション
場所:東大本郷キャンパス、武田ホール
主催:東京大学分子細胞生物学研究所、 (財公団)応用微生物・分子細胞生物学研究奨励会
*参加費無料、事前登録不要(どなたでも参加できます)
問い合わせ:03-5841-0756(中川)

 


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DNA複製、組換え、修復(3R)に関する国際会議を遺伝研国際シンポジウムと共催で行います。

11/02/'14

http://3r2014.com/

 開催日時:2014年11月17-21日
場所:御殿場高原ホテル 
参加人数:約200名(海外招待講演者23名、その他海外からの参加者約50名)
共催:東京大学分子細胞生物学研究所国際シンポジウム2014
後援:文部科学省科学研究費補助金新学術領域研究
「ゲノム普遍的制御」代表・花岡 文雄
「ゲノムアダプテーション」代表・篠原 彰
「非コードDNA」代表・小林 武彦
「クロマチン動構造」代表・胡桃坂 仁志

 


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小林の総説が日本学士院発行のProceedings of the Japan Academy, Series B の表紙になりました。4/28/'14

著者:Takehiko Kobayashi
論文タイトル:Ribosomal RNA gene repeats, their stability and cellular senescence
掲載誌:Proceedings of the Japan Academy, Series B, Vol. 90(2014) No. 4 , 119-129.
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/pjab

 


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飯田助教が日本遺伝学会BP賞を受賞しました。4/28/'14

飯田哲史助教が、2013年9月19日(木)- 21日(土)に慶応大学で行われました第85回日本遺伝学会にて、BP賞(Best Papers賞:優秀口頭発表賞)を受賞しました。発表題目:出芽酵母の鋳型DNA鎖修復機構 日本遺伝学会HP http://gsj3.jp/

 


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Faculty of 1000により優れた論文として推薦されました。10/31/'13

カレントバイオロジーの論文(saka et al., 2013)がFaculty of 1000により必読論文”Must read paper”として推薦されました。

http://f1000.com/prime/718095598?bd=1&ui=150229

Faculty of 1000とは、世界中の生物医学系の第一線の研究者が、出版された論文の中から優れたものを推薦する「発表後の評価」システムです。

 


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細胞老化に関する論文がカレントバイオロジーに掲載されました。9/23/'13

タイトル:サーチュインによる非コードプロモーターの転写制御が寿命を決定する
著者:坂季美子、井手聖、ガンレイ オーステン、小林武彦
掲載誌:カレントバイオロジー、2013年9月23日、vol. 23、p1794-1798, on line Aug 29, 2013

原題:Cellular Senescence in Yeast Is Regulated by rDNA Noncoding Transcription.
Saka K, Ide S, Ganley AR, Kobayashi T.
Curr Biol. 2013 Sep 23; 23(18):1794-1798

要旨
ゲノムの安定性が低下するとヒトをはじめ多くの生物で老化が進行することが知られているが、そのメカニズムについてはほとんど判っていなかった。今回我々は、すべての生物に存在しゲノム中で不安定な「リボソームRNA反復遺伝子」が、細胞の老化速度を決定していることを、酵母菌を使った研究で突き止めた。
リボソームRNA反復遺伝子間に存在しその安定性を制御する「非コードプロモーター」を人為的に誘導可能なプロモーターに置き換えた細胞を作成した。その細胞ではプロモーターのオンオフで自由にリボソームRNA反復遺伝子の安定性を操作できると共に、酵母の寿命をも操ることができた。さらにその「非コードプロモーター」はヒトまで存在する老化抑制遺伝子サーチュインによって制御されていることから、サーチュインはリボソームRNA反復遺伝子の安定性を通して老化速度を決定していることを突き止めた。

<成果についての報道>
テレビ
8月30日 NHKニュース「おはよう日本」
8月30日 テレビ朝日「やじうまテレビ」
8月30日 テレビ朝日「モーニングバード」
8月30日 テレビ朝日「ANNニュース」

新聞
9月5日 毎日新聞朝刊
9月3日 日本経済新聞
9月3日 日経産業新聞
9月3日 日刊工業新聞
8月30日 静岡新聞
8月30日 宮崎新聞

雑誌
9月9日 日経バイオテク
10月20日  パンプキン11月号

ネットニュース
8月30日 Yahoo Japan 「トピックス」
8月30日 時事ドットコム
8月30日 日本版ウオール・ストリート・ジャーナル
8月30日 ニコニコニュース

 

 


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当研究所室の仕事が論文になりました。4/7/'13

"遺伝子の爆発的増加は「輪転がし」で"

著者:井手 聖、坂 季美子、小林 武彦
原題:Rtt109 Prevents Hyper-Amplification of Ribosomal RNA Genes through Histone Modification in Budding Yeast

Satoru Ide, Kimiko Saka, Takehiko Kobayashi
Research Article | published 04 Apr 2013 | PLOS Genetics 10.1371/journal.pgen.1003410
細胞にはたくさんの種類の遺伝子があり、通常その数は生涯を通じて変化しませんが、時として爆発的に増加(遺伝子増幅)することが知られています。例えばカエルの卵が出来るときリボソームRNA遺伝子というリボソームを作る遺伝子が数万~数十万コピーに増加します。また進化においては、現在ファミリー遺伝子やクラスター遺伝子として存在する相同性の高い反復遺伝子群は、かつて1つの遺伝子からの大規模な遺伝子増幅により発生したと考えられています。以前よりこの爆発的な遺伝子増幅はローリングサークル(輪転がし)型DNA複製と呼ばれる環状DNAを鋳型にした複製の連続反応によると考えられていましたが、そのメカニズムについては判っていませんでした。今回我々はその誘導にはRTT109というクロマチン構造の変化に関わる遺伝子が重要な役割をはたしていることを発見しました。

 RTT109遺伝子はヒストンをアセチル化修飾しクロマチン構造を変化させる働きがあります。この遺伝子の発現が低下すると、リボソームRNA遺伝子が突如としてローリングサークル型DNA複製を開始し、コピー数が450コピー以上に増加しました。その分子機構としては、RTT109がなくなるとDNAにできた傷を修復する過程に変化が生じ、本来起こらないローリングサークル型DNA複製中間体が形成され、輪っか状の鋳型がコロコロ転がりながら複製されてコピー数が増加します(図参照)。
生物はこのヒストン修飾を利用した遺伝子増幅スイッチのON/OFFにより、時に遺伝子数を爆発的に増やして、環境変化への適応や発生、分化の制御を行っていると考えられます。

(図)

研究成果は2013年4月4日付けのPlos Geneticsに掲載されています。


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小林教授が第29回井上学術賞を受賞しました。1/29/'13

本賞は自然科学の基礎的研究で特に顕著な業績を挙げた50歳未満の研究者に対して与えられる賞です。2007年にはiPS細胞の山中伸弥教授が受賞しています。

受賞題目「遺伝子増幅の分子機構の全容解明と癌化や老化との関係性の発見」

<受賞研究の解説>
小林教授は、高度に反復したリボソームRNA遺伝子(rDNA)が如何にコピー数を安定に維持しているのか、単離した多数の変異株を用いて詳細に解析し、rDNA遺伝子増幅の分子機構の全容を解明しました。またリボソームRNA遺伝子の安定性やコピー数の変化が、細胞の老化速度や発ガン物質に対する感受性に影響を与えることを発見し「細胞老化のrDNA 仮説」を提唱するに至っています。
 遺伝子のコピー数の変化は一卵性双生児間でも多数起こっていることが近年のゲノム解析から明らかになってきています。今後、医学領域においても遺伝子増幅と老化・発ガンとの関係が解明されることが期待され、小林教授の発見はきわめて重要です。

井上科学振興財団 http://www.inoue-zaidan.or.jp/

文部科学大臣賞表彰

 


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小林が平成24年度科学技術分野の文部科学大臣表彰(研究部門)を受賞しました。4/9/'12

本賞は我が国の科学技術の発展等に寄与する可能性の高い独創的な研究又は開発を行った個人又はグループに贈られる賞です。小林教授はゲノムの改変、特に遺伝子の増幅機構の研究に携わり、増幅遺伝子の代表格であるリボソームRNA遺伝子の増幅機構を解明しました。

受賞題目「細胞内の遺伝子増幅機構及びその生理作用の研究」
<研究概要>
 遺伝子増幅とは遺伝子がコピー数を増やす現象で、生物の進化や環境適応の過程で重要な役割を果たしてきました。医学の分野では癌遺伝子の増幅は癌の悪性化を引き起こし、その治療に用いる抗がん剤も薬剤耐性遺伝子の増幅により効果が妨げられています。最近の一卵性双生児の研究では、生後の遺伝子のコピー数の変化が兄弟の「個性」を作り出していることも判ってきました。このように遺伝子増幅は生物学的、医学的に重要な生命現象であるにも関わらず、そのメカニズムはよく判っていませんでした。本受賞研究では遺伝子増幅を示すリボソームRNA遺伝子をモデルに、その分子メカニズムを解明しています。また、増幅した遺伝子群は染色体の不安定化を引き起こしやすく「細胞老化」の一因となることも合わせて発見されました。  本成果は次世代医療に貢献が期待されるヒトゲノム研究においてその構造的基盤を支えると共に、超高齢化社会を迎える我が国の重要課題の1つである「加齢に伴う疾患の発症メカニズム」の解明に繋がる研究です。

平成24年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者の決定について(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/24/04/1319413.htm

受賞式ー同賞受賞の岩田想さん(左)と。 平成24年4月17日文部科学省にて。

文部科学大臣賞表彰


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小林執筆の総説が出版されました。6/25/11

論文名-ゲノムが不安定化するとなぜ寿命が縮むのか?-テロメアとrDNAの役割を中心に-
著者-小林 武彦
掲載誌-Genes to Cells
内容-ヒト早期老化症(早老症)の原因遺伝子はゲノムの修復に関わる遺伝子であることが十数年前に判明しました。またヒト以外の生物でもゲノムが不安定化する(壊れやすくなる)と寿命が短縮することが知られています。しかしそのメカニズムは未だ不明です。筆者はゲノム中でも特に安定性が低いリボソームRNA反復遺伝子とテロメアが、その謎を解く鍵を握っていると考えています。

原題:How does genome instability affect lifespan?: roles of rDNA and telomeres.
Kobayashi T. Genes Cells. 2011, 16:617-24. (近日中にオープンアクセスになります)


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小林が沖縄科学技術基盤整備機構(OIST)のトレーニングコースの講師を務めました。5/25/11

QECG2011:Linkage and Recombination in Genome Sequences.
(写真は会場のシーサイドハウスからの夕日です)
シーサイドハウスからの夕日


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Austenさんの論文が出版されました。5/12/11

論文名-実験進化的手法によるリボソームRNA遺伝子の協調進化の解析
著者-ガンレイ オーステン、小林 武彦
掲載誌-Molecular Biology and Evolution
内容-リボソームRNA遺伝子(rDNA)は真核細胞では100コピー以上が巨大反復遺伝子群を染色体上に形成しています。面白いことにその半分以上は転写されていないにもかかわらず、全てのコピーは高度に均一化された状態で維持されています。今回、人為的にrDNAの1つのコピーに中立の変異を導入し、それがリピート全体にどのように伝播、あるいは排除されコピーの均一化が図られているのか解析しました。

原題;Monitoring the Rate and Dynamics of Concerted Evolution in the Ribosomal DNA Repeats of Saccharomyces cerevisiae Using Experimental Evolution.
Ganley AR, Kobayashi T. Mol Biol Evol. 2011 May 4. [Epub ahead of print]

 


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宮崎さんの論文が出版されました。5/12/11

論文名-輪になって踊るリボソームRNA遺伝子の不思議な動き
著者-宮崎 隆明、小林 武彦
掲載誌-Genes to Cells
内容-rDNA(リボソームRNA遺伝子)は染色体上に巨体反復遺伝子群を形成しています。そのためリピート内での組換え、欠失、染色体の不分離等を起こしやすいゲノム中で最も不安定な脆弱領域でもあります。本論文では、出芽酵母の約1.5メガベース(1.5 Mbp)の巨大なrDNA全体に渡ってlacO配列(約150個)を挿入し、それに結合する蛍光タンパク質GFP-LacIを発現させることで、生きた状態でrDNAの動態を観察する事に成功しました。その結果rDNAは細胞周期を通じて核小体の表面付近を激しく動き回っており、G2/M期には凝縮したリング状になり回転運動のような動きを見せることが判りました。またM期終期では、rDNAの長さ(コピー数)が染色体の分離速度に影響を与えていることも判明しました。
原題:Visualization of the dynamic behavior of ribosomal RNA gene repeats in living yeast cells.
Miyazaki T, Kobayashi T. Genes Cells.2011, 16:491-502.

 


Dr.koba

rDNAと進化に関するに関する総説がFaculty1000によりTop 2%の論文に選ばれました。2/11/11

評価のコメントは http://f1000.com/8159964 をご覧下さい。


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rDNAと進化に関する総説がCellular and Molecular Life Sciences出版されました。1/11/11

Kobayashi, T. (2011) Regulation of ribosomal RNA gene copy number and its role in modulating genome integrity and evolutionary adaptability in yeast. Cell. Mol. Life Sci. Jan 5. [Epub ahead of print]
本総説ではrDNAが進化の過程で如何にコピー数を増やしていったか。またそれがゲノム全体の変化、及び生物の進化にどのように影響したか、について新説を唱えています。


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二次元アガロースゲル電気泳動法及びパルスフィールド電気泳動法のプロトコールがCurrent Protocolsに掲載されました。12/25/10

Ide, S. and Kobayashi T. (2010) Analysis of DNA Replication in S. cerevisiae by Two-Dimensional and Pulsed-Field Gel Electrophoresis. Curr. Prot. Sup49 UNIT22.14.1-12.


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11月6日(土)秋葉原コンベンションホールにて恒例の遺伝研公開講演会を開催いたします。20/10/10

11月6日(土)秋葉原コンベンションホールにて恒例の遺伝研公開講演会を開催いたします。詳しくは公開講演会ホームページ https://www.leaveanest.com/nig/をご覧下さい。大学院説明会も同時開催致します。 お近くの方は是非どうぞ。


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9月16日名大カフェで講演会を開きます。会場は名古屋市内のカフェです。 お近くの方は是非どうぞ。09/10/10

小林 武彦講演会

 


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Indian Institute of Technology(IIT, Kanpur)からの体験留学生 (学 部3年生)が修了式を迎えました。07/15/10

Indian Institute of of Technology(IIT, Kanpur)からの体験留学生 (学 部3年生)が修了式を迎えました。 遺伝子の増幅機構を10週間みっちり勉強し ました(担当 飯田)。

インド体験留学生

 


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九州大学大学大学院薬学研究科にて集中講義を行いました(小林)06/30/10 .

タイトルは「ゲノムの安定性維持機構」

 


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東京工業大学大学院生命理工学研究科にて特別講義を行いました(小林)06/16/10

タイトルは「ゲノムの安定性と細胞老化、癌化」

 


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Ide et al., (2010) Science 327, 693-696. がFaculty of 1000 Biologyの「Exceptional」論文に選ばれました。 2/18/10

Faculty of 1000 Biologyは世界中の研究機関で利用されている論文評価システムで、最新の論文の中から優れたものを推薦するサイトです。当該論文に対する推薦文は、以下のサイトより閲覧できます。

http://www.f1000biology.com/article/id/1977958

 


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当研究室によりリボソームRNA遺伝子のコピー数の謎が解明されました 2/5/10

タイトル:大過剰に存在するリボソームRNA遺伝子のコピーはゲノムの安定性の維持に重要である。
掲載誌:Science vol.327, p693-696 (2010)
論文名:「Abundance of ribosomal RNA gene copies maintains genome integrity」
著者名:井手 聖、宮崎 隆明、真木 寿治、小林 武彦

論文の要約:
遺伝子は通常1細胞あたり1コピーのみ存在するが、中にはコピーを増やし転写産物量を増大させている遺伝子もある。それらは増幅遺伝子と呼ばれ、同一遺伝子が染色体上あるいは染色体外に多数存在する。増幅遺伝子の代表格は、リボソームRNA遺伝子というリボソーム中に存在するRNAをコードする遺伝子で、真核細胞では数百~数千コピーが巨大な反復遺伝子群を染色体上に形成している。リボソームは細胞の全タンパク質の約80%を占めており、その骨格を作るリボソームRNAの遺伝子も1つでは足らず多数必要となる。しかし不思議なことに、その膨大なコピーの半数以上は転写されておらず、なぜこのような「働かない」余分なコピーが存在するのか長年の謎であった。今回我々はこの「働かないコピー」の役割について、それらはDNAにできた傷を修復するための足場となり、リボソームRNA遺伝子及びゲノム全体の安定性の維持に重要な役割を担っていることを解明した。(本研究は奈良先端大学院大学 真木 寿治教授との共同研究です)

原題:
Ide, S., Miyazaki, T., Maki, H., and Kobayashi, T. (2010). Abundance of ribosomal RNA gene copies maintains genome integrity.Science 327, 693-696.
DOI: 10.1126/science.1179044
http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/327/5966/693

掲載新聞、紹介記事等:
2月16日朝日新聞朝刊
2月   科学新聞
nature reviews Mol.Cell Biol., vol.11, p160-
米国メディア 「The Scientists」
http://www.the-scientist.com/blog/display/57135/
JST 「Science Portal」 トップニュースhttp://scienceportal.jp/news/daily/1002/1002051.html
Current Biology 20, R368-R370.

 


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Ganley et al., 2009, Mol. Cell, 35, 683-がFaculty of 1000 Biologyの「Must Read」論文に選ばれました。 12/31/09

Faculty of 1000 Biologyは世界中の研究機関で利用されている論文評価システムで、最新の論文の中から優れたものを推薦するサイトです。当該論文に対する推薦文は、以下のサイトより閲覧できます。
http://f1000biology.com/article/id/1345961/evaluation


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リボソームRNA遺伝子と細胞老化に関する論文がMolecular Cell 誌に掲載されました。09/11/09

タイトル

「リボソームRNA遺伝子の安定性が老化速度を左右する」

掲載誌

Molecular Cell, Vol.35, p683-693 (2009); DOI:10.1016/j.molcel.2009.07.012

著者

ガンレイ オーステン、井手 聖、坂 季美子、小林 武彦

論文の要約

 ほとんどの生物は時と共に老化しやがて死んでしまうが、それでも生命が滅びず長期にわたり存続し続けることができるのは、子孫を残し世代交代を行っているためである。真核生物のモデル生物である出芽酵母(母細胞)は不等分裂(出芽)により小さい娘細胞を産み出す。母細胞は2時間に一回分裂し約20回分裂すると(約20個の娘を生むと)老化して死んでしまうが、娘細胞は「リセット(若返り)」を起こして、また20回分裂する能力を回復する。つまり、世代交代が一回の細胞分裂で起こるわけである。今回我々はこの若返り機構を解明するため、母と娘細胞のゲノムの違いを解析した。その結果ゲノム中で最も安定性が低いリボソームRNA反復遺伝子群(rDNA)が、出芽時に娘細胞で回復していることを発見した。さらに人為的にrDNAの配列を改変し不安定化しやすくすると、寿命が約20%短縮した。以上のことから出芽酵母では、rDNAが老化促進因子として働き母細胞の分裂回数を規定していると考えられる。

原題

The effect of replication initiation on gene amplification in the rDNA and its relationship to aging.
Austen R.D. Ganley, Satoru Ide, Kimiko Saka, Takehiko Kobayashi
Molecular Cell , Vol.35, p683-693 (2009); DOI:10.1016/j.molcel.2009.07.012

新聞掲載等

9月11日 中日新聞
9月11日 東京新聞
9月11日 静岡新聞
9月25日 朝日新聞
10月2日 科学新聞
Nature Structural & Molecular Biology誌 “Research Highlights” Vol.16, 1009 (2009)


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夏休み遺伝研体験入学に3名の学部生が参加しました。08/19-28/09

8月19日から28日までの10日間、パルスフィールド電気泳動法による変異 株のゲノム解析とバイオインフォマティクスを勉強しました。 (写真は、データの解析をする体験入学生)
データの解析をする体験入学生


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静岡県立韮山高校から3名の生徒さんが職場体験に参加しました。08/10/09

DNA大量配列決定装置を見学したり、体験実験ではDNAの制限酵素による切断、電 気泳動のよる解析、制限地図の作製等を行いました。にぎやかな1日でした。 (写真は、電気泳動に挑戦中の韮校生)
電気泳動に挑戦中の韮校生


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Indian Institute of Science Education & Reserch(IISER,Pune)から来ていた体験留学生 (学 部3年生)が修了式を迎えました。07/16/09

Indian Institute of Science Education & Reserch(IISER,Pune)から来ていた体験留学生 (学 部3年生)が修了式を迎えました。 減数分裂期の染色体分配機構(担当 小林)とRNAi関連 タンパク質の生化学(担当 飯田)を10週間みっちり勉強し ました。留学生終了


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沼津市市民教養講座の講師をつとめました。12/2/08

沼津市主催市民教養講座で「生物の老化機構」について講義をいたしました。たくさん質問して頂きありがとうございました。中でも「多くの生物で食べる量を減らすと寿命が延びる」という実験結果はショックが大きかったようです。食事が美味しく食べられなくなったらごめんなさい。


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静岡新聞(日曜版、科学欄)にて、「遺伝研-進歩と変革- 三島から最新報告」の第7回(平成20年10月26日)を担当しま した。11/11/08

イラストは当研究所知的財産室の平井祐子さんの作品です。
「静岡新聞 社編集局調査部許諾済み」
静岡新聞(日曜版、科学欄)


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夏の体験入学を行いました。10/01/08

8月から9月にかけて当研究室の「夏休み体験入学」が行われ、3名の学生さん(学部3年生)が参加しました。
短い期間でしたが酵母の遺伝学、バイオイメージング、マウスのゲノム解析等を体験して頂きました。

写真は井手研究員、坂技官に蛍光顕微鏡観察を教わる体験入学生。


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東京工業大学大学院生命理工学研究科にて特別講義を行いました(小林)。07/07/08

講義のタイトル「ゲノムの不安定性が引き起こす癌、細胞老化」


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福井大学大学院工学研究科にて集中講義を行いました(小 林)。06/24-25/08

講義のタイトル「ゲノムの安定性は如何に維持されているのか?」


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インドからNIGINTERN2008で留学生が来ました。06/17/08

Indian Institute of Technology(IIT,Madras)から体験留学生 (学部3年生)が当研究室に来ています。
遺伝研に7月中旬までの2ヶ 月半滞在し、主に酵母の遺伝学を勉強します。

先日ベジタリアンの彼のために歓迎天ぷらパーティをやりました。


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5月17日(土)大学院説明会が開かれます。

当研究室では大学院生を募集しています。酵母を使った老化研究、ゲノ ム研究、進化等に興味のある方は是非お越し下さい。見るだけはただです。楽しい議論をしに来てください。お待ちしています。
以下研究室の宣伝文です。

ゲノム再生研究部門
本研究室では細胞老化やゲノム維持のメカニズムを主に酵母を使って研究しています。

研究テーマ その1(その2以降は今回は省略)

「酵母を使った老化研究」

出芽酵母は出芽で増える単細胞真核生物です。通常単細胞生物は栄養条件さえ良ければ無限に増殖し続けますが、出芽酵母は1つの細胞(母細胞)から分裂(出芽)で作られる細胞(娘細胞)の数に限りがあり、老化現象を示すもっとも単純な生物です。

興味深いことには母細胞は出芽の度に老化する(残された分裂可能回数が減っていく)のに対し、そこから生まれる娘細胞はリセットされ「若返り」を起こし、もとの分裂能力が回復します。

我々はある遺伝子をノックアウトすると母細胞の寿命が約60%延長することを発見しました。この変異株は他には異常が認められず、寿命だけが延びています。

実はこの遺伝子、リボソームRNA遺伝子(rDNA)という生存に必須な遺伝子の安定性に関与している遺伝子です。rDNAは100コピー以上が反復した特殊な構造をとっており、ゲノム中でテロメアと並んで最も安定性が低い領域として知られています。この遺伝子をノックアウトするとその不安定なrDNAが安定化することが知られています。

もしあなたがこの研究プロジェクトに加わるとしたら、一体どんな実験を計画しますか?創造力たくましい方、行動力に自信のある方、新しい何かを作り出したい方、是非議論しに当研究室のポスターの前に来てください。お待ちしています。

ゲノム再生研究部門  教授 小林 武彦



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4月5日 東京大学分子細胞生物学研究所の一般公開が行われました。04/05/08

桜の見頃と重なり全国各地から8千人以上の方が見学に来られました。
当研究室は研究の紹介、DNA模型の折り紙の配布(荒木研究室作成)、DNA抽出実験を行いました。
多数のご来場ありがとうございました(会場が手狭で申し訳ありませんでした)。

また小林による講演会「生き物の寿命-ヒトは何才まで生きられるのか?」にも多数ご来場下さりありがとうございました。
いい質問が沢山あり、こちらの勉強にもなりました。


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小林によるリボソームRNA遺伝子(rDNA)の機能に関する仮説がBioEssays誌(オンライン版)に掲載されました。02/26/08

タイトル

「細胞老化と癌化抑制におけるrDNAの役割 - rDNA仮説」

掲載誌

BioEssays 30, 267-272 (2008); DOI: 10.1002/bies.20723

著者

小林 武彦

論文の要約

 リボソームRNA遺伝子(rDNA)は100コピー以上が繰り返して存在する巨大反復遺伝子であり、染色体中で最も安定性の低い領域です。そのためrDNAの状態(安定性やコピー数等)が細胞の機能に影響を与えている可能性が考えられます。本論文では、rDNAの遺伝子以外の生理機能として、老化促進作用とゲノムの安定性維持機構について考察しています。
 以前よりゲノムの不安定化が細胞老化の原因の1つと考えられていましたが、その具体的な機序については不明でした。小林は元々不安定なrDNAが、時間の経過により他のゲノム領域よりも優位に(早く)不安定化し、その産物であるリボソームRNAの質と量を低下させることで、細胞老化を促進している可能性をあげています。つまりrDNAの不安定性が細胞の老化速度を決める1つの要因ではないかと推察しています(細胞老化のrDNA仮説)。
 またrDNAはその不安定性ゆえに、外的、内的な刺激(紫外線や活性酸素等)に対して非常に感受性の高い領域です。この性質から小林はrDNAが一種の「ダメージセンサー」として機能し、刺激にいち早く反応し、チェックポイント制御等のゲノム保護機構を活性化するための「シグナル」を出す役割を担っているのではないかと推察しています(rDNAのダメージセンサー仮説)。この仮説によれば、rDNAの不安定性はアポトーシスや癌化抑制にも働いている可能性があり、今後重要な研究分野に発展すると期待されます。

原題

A new role of the rDNA and nucleolus in the nucleus - rDNA instability maintains genome integrity 
Kobayashi, T.
BioEssays 30, 267-272 (2008); DOI: 10.1002/bies.20723



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ガンレイと小林が分担執筆した本が出版されました。02/01/08

COMPARATIVE GENOMICS VOLUME 1Methods in Molecular Biology , Vol. 395, Bergman, Nicholas H. (Ed.)
ISBN: 978-1-58829-693-1


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ガンレイ オーステン助教が母国ニュージーランドのマッセイ大学に栄転いたしました。12/10/07

送別会には他の研究室の方々も大勢参加されました。

送別会 送別会

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小林の論文が2007年日本遺伝学会誌(Genes & Genetic Systems)GGS Prize 2007を受賞しました。
10/10/07

受賞論文の要約

リボソームRNA遺伝子の安定化戦略
 -DNA組み換え、姉妹染色分体接着、染色体凝縮のコラボレーション

リボソームRNA遺伝子(rDNA)は100コピー以上がタンデムに連なった巨大反復遺伝子群を染色体上に形成しており、真核細胞のゲノム中で最もユニークな領域の1つである。通常反復遺伝子ではリピート間での相互作用が生じ、コピー数の減少や転座、染色体の不分離等の異常を引き起こすと考えられるが、rDNAについては「特別な機構」により常にほぼ一定のコピー数が安定に維持されている。本総説では、その「特別な機構」について筆者らの研究を中心に紹介する。

受賞論文

Kobayashi, T. (2006). Strategies to maintain the stability of the ribosomal RNA gene repeats. Genes Genet. Syst. 81, 155-161.


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Ganley助教と熱心にデータを解析している体験入学生夏休み体験入学終了
08/27/07

8月16日~27日、当研究室の「夏休み体験入学」が行われ、2名の学生さん(学部3年生)が参加しました。
短い期間でしたが酵母の遺伝学、ゲノム構造解析、バイオイメージング、DNA塩基配列決定等、体験して頂きました。今後の進路決定の参考になれば幸いです。

写真はGanley助教と熱心にデータを解析している体験入学生。


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最新論文の紹介-1 09/05/07

タイトル

リボソームRNA反復遺伝子は協調進化により高度に均一化されている

掲載誌

Genome Res. 2007, 17, 184-191

著者

オーステン ガンレイ、小林 武彦

論文の要約

反復遺伝子には協調進化と呼ばれる普通の遺伝子とは異なる進化様式を持つものがある。通常の進化では遺伝子に生じた変異が個別に排除、あるいは固定されていくのに対し、協調進化では反復遺伝子の一つに入った変異が組換えによりリピート全体に伝播し、協調的に変化していく。しかし実際に協調進化がどの程度の頻度で起こっているのかについては、リピート全体の配列を決めた例がほとんどないため不明であった。今回我々は反復遺伝子の代表格であるリボソームRNA遺伝子について、ショットガン配列決定法に用いられたrDNAを含む多数の断片の配列情報を元に、rDNA全体に渡って配列を決定しリピート間の多様性について解析した。その結果rDNAは協調進化を示さない他の反復遺伝子に比べて圧倒的にユニット間での相違が少なく、配列の均一化が起こっていることが判明した。また配列の変化が見つかった位置も遺伝子領域、非遺伝子領域で差が見られなかったことから、変異の伝播が迅速であり、個別の遺伝子に起こった変異は選択を受けていないことを示している。

原題

Highly efficient concerted evolution in the ribosomal DNA repeats: Total rDNA repeat variation revealed by whole-genome shotgun sequence data.
Austen R.D. Ganley and Takehiko Kobayashi
Genome Res. 2007, 17, 184-191


 

 
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